パセリを収穫する中島梨恵さん。初出荷の喜びもひとしお。

食を見直し
志していた
農業ができた!

都会の暮らしに息が詰まり始めていた 中島梨恵さんは「食」に目覚め、 農業を志し移住。有機農業の町「吉賀町」で 農家として充実した生活を送っている。

一生このまま会社員?
将来の不安がよぎる

アパレル業界に身を置き17年。
このままデザイナー一筋で人生を終えるのか? と不安になった。

こだわり食材を
自分でつくりたい!

周囲の人が立て続けに体調を崩し、 食生活を見直すと「食材」に目が向いた。 自分でこだわり農産物を作りたくなった。

移住後の最大の変化は?

衣食住がガラリと変化

アパレル業界から農家への転身は衣食住が大変化。
おしゃれ服とハイヒールが、作業着と長靴へ。
食はコンビニ食から有機野菜食へ。住は1Kから5DK!
もちろん農家は大変だが、なにより心も体も健康になった!

将来の不安、
不摂生な暮らしを
見直したかった

 東京のアパレルメーカーでデザイナーをしていた中島さんは、ふと『定年までデザイナーとして勤めるのは、どうなんだろう?』と将来が不安になった。服飾専門学校を卒業して17年間、アパレル業界のことしか知らない。他業種の人と話すと自分の知らないことばかり。仕事の在り方を見直しはじめた。

 その頃、周囲の人がバタバタと体調を崩す。残業・土日出勤など、生活が不規則で、食生活の乱れを感じざるを得ない。次第に命を維持する〝食〟について興味が湧き、食材にこだわりを持つようになった。しかし有機野菜等は手に入りにくく、入ったとしても鮮度が悪く味も落ちる。それなら「自分でつくってみたい!」と思うようになり、地方での農業を考えた。

アパレル業界で定年まで!?
いろんな世界を見てみたかった。

アパレルデザイナーとしてやりがいはあったが、他業種のことを全く知らず、定年までこの仕事をすることに不安があった。

有機野菜づくりは
東京では難しい!

こだわりの食材をつくるには、土や水、空気など環境が良いところがいい。東京近郊では難しいと感じた。

左/手塩に育てたズッキーニ。近所の人たちが栽培方法を教えてくれる。
右/吉賀町、津和野町、益田市の農家が集まり勉強会を開催している「ハレホレ農会」のメンバーと。

島根のイベントに参加。
東京↔島根を10往復した。

 農業を念頭に置き、田舎暮らしにも憧れていたことから地方に目を向けた。そこで7年前に島根へ旅行したことを思い出す。出雲市の出西窯へ行ったときに、モノづくりに対する姿勢が印象的で、環境も良く人も温かかった。そこでインターネットで島根の情報を収集。ふるさと島根定住財団主催の「しまねナイト」や島根県主催の「しまコトアカデミー」など、東京で開催されているイベントに参加。

 どんどん島根にハマる中「実際に島根に行ってみよう!」と10回も島根に通い、移住地を見て回った。最後に行った吉賀町柿木村にロックオン! 40年前から町を挙げて有機農業を行っていることから「ここしかない!」と移住を決意した。

移住の決め手

40年前から有機栽培を行っている
吉賀町の土地・人に魅力を感じた

Point 01
小規模多品種の
有機農業の町「吉賀町」

無農薬有機栽培の第一人者・故山下一穂氏が吉賀町へ指導に来ていたことは知っていた。吉賀町では、柿木村有機農業研究会の元会長・福原圧史さんの有機栽培に対する熱い思いを聞いた。

Point 02
吉賀町の支援員は
頼れる存在

吉賀町役場の支援員に町を案内してもらった。移住を決めたときにも一緒に家探しを。自分の思った物件が見つけられなかったが、お試し住宅で暮らしながら家を探すことを支援員が勧めてくれた。

Point 03
産業体験事業を使い
農業のイロハを学ぶ

農業未経験者には産業体験事業は大助かり。有機農家が受け入れ先となり、稲作、野菜作りを一から習得した。

有機野菜をつくりたかった夢が
吉賀町で叶った!

 食を見直し、自ら有機野菜の農家となった中島さん。「こだわり」を突きつめると有機野菜の町「吉賀町」にたどり着いた。小規模農業の盛んな吉賀町は、中島さんのように個人で少量多品目を栽培する農家にピッタリはまった。

農家に休みはないが、 野菜と向き合い、
地域の人とふれあい、 人間らしい生活を送っている。

島根県の「半農半X」事業で自立農業を目指す

 移住者に対して就農初期の営農に必要な経費を助成する、
島根県の支援制度「半農半X」を使い、自営に向けて準備中。
パセリ、シシトウ、トウモロコシなど栽培しながら、配達業務を週に1回行っている。

右/家には本がいっぱい。日々、有機野菜の勉強に励む中島さん。
左/家の土間で、野菜の梱包をしている。

移住者 File 01

名前
中島梨恵さん  41歳
家族構成
1人
出身
神奈川県
移住のきっかけ
豊かな自然の中で有機農業がしたかった

移住前

住所
東京都
職業
アパレルデザイナー
間取り・家賃
1K 10万円
趣味
ヨガ・登山・キャンプ
生活環境
東京では1Kの狭いマンション暮らし。通勤ラッシュはもちろん、アパレル業界だったこともあり流行りの服を着用。典型的な都会暮らしの会社員だった。

移住後

住所
吉賀町柿木村
職業
農家
間取り・家賃
5DK+庭+畑 2.5万円
趣味
DIY
生活環境
の変化
今は平屋一戸建ての5DKで庭と畑付き!しかも家賃が4分の1!
大きな家に一人でいても、近所の人が声をかけてくれるので全然、寂しくない。

移住後のタイムスケジュール

農家なので休日はないが充実感はある!
平日のある日
朝日と共に起床し、夕方まで畑!
5:00
起床・身支度・朝食
6:00
野菜収穫
9:00
苗定植
12:00
昼食
13:00
野菜袋詰め
16:00
出荷
17:00
草刈り
19:00
入浴
20:30
夕食
23:00
就寝
休日のある日
農家に休みなし。暮らしの中に農業がある。
5:00
起床・身支度・朝食
6:00
〜平日と同じ

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しまねUIターン情報誌 BeanS vol.62