Beansしまね
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隠岐の大自然に魅せられ島で唯一の窯を開く

隠岐の西ノ島町で窯元「焼火窯(たくひがま)」を営む加藤唐山さんは、美濃焼の産地で知られる岐阜県多治見市出身。実家も窯元である。子どもの頃から窯の手伝いをしたことで、逆に嫌気が差し、家を継がず幼なじみの洋子さんと結婚し家を出た。

年月は流れ40歳になった頃、ふと、ろくろを回してみたくなったと言う。そこで窯元を開く地を探しながら、2人で隠岐旅行を楽しんでいた時に国賀海岸の悠大な自然にいたく感動。「ここで窯を興そう!」と即決したのだった。当時、加藤さんは52歳、今から約20年前のことである。その頃、ふるさと島根定住財団はUIターンしまね産業体験事業を始めたばかり。その初年度に加藤さん夫妻は支援を受けることとなった。

「産業体験事業で助成金を受けられると聞いて驚きました。住まいも西ノ島町役場や区長さんに紹介していただき、住民の方から焼き物に使う粘土の場所を教えてもらったり、本当に皆さん親切でありがたかったです。その恩返しと思い、産業体験の受け入れ先として弟子をとっています」と話す加藤さん。

これまで12人を受け入れ、陶芸家を育てている。現在は「焼火窯」の跡継ぎを募集中。一代で築き上げた火が消えないよう、若き力を求めているところだ。

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島は創作活動にもってこい!

平成9年に焼火窯を開きました。島内では「変わった人がIターンしてきた」と噂が広まっていたようです(笑)。島暮らしは創作するには最高! しかし商品を売るには都会に出なければなりません。島外へ出てパワーを充電し、癒しの島でモノづくりをしています。

覚悟を決めて弟子入りを

陶芸をやりたくてここを訪れた人の多くが、自分で調べて直接やって来ました。そのため産業体験事業を知らない人が多いです。伝統工芸の産業体験は2年ですが、陶芸教室を開くまでの知識と技が身に付くまでには最低5年はかかります。産業体験後は他にアルバイトをしながら、勉強に来てもらっています。

島の土で染物づくり

妻の洋子は島の赤土、黄土などを染料にして平成21年から「風流染」をしています。染めは工房で行い、染料は海で洗い流すので全てが手作業。夫婦共々、隠岐の大地の恵みで生かされています。

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お気に入りの風景「国賀海岸」。美しい自然美に感動して移住を決めた場所。

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熟練された技でろくろを回す加藤さん。

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日の当たる工房で作陶に没頭する。

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ギャラリーの玄関の向こうには日本海が見える。