大学3年生の時、松江市で開催された合同企業説明会に参加したことがあるという山内さん。「新卒じゃなかったら働く場所がないようなイメージがあって……」と話す通り、卒業後にUターンしているのは教師や看護師など、資格を持った専門職の人ばかり。だが実際、Uターンして仕事を探してみると、いろいろな職種の求人との出会いも。一度県外で就職し、仕事の内容や条件に関して自分が求めるものが学生時代よりは明確になった分、目的を持って丁寧に探せたと言います。
今の職場は制度や法律などを勉強する機会が多く、それがおもしろくて自分の成長を感じているそう。入社前は想定できなかった感覚ゆえに、「働きながらステップアップできる場所は必ずあると思います」と言葉にも力が入っていました。
移住BEFORE・AFTER
[BEFORE]
□ 住所
兵庫県
□ 職業
生命保険の営業
□ 住まい
1K
□ 趣味
買物、ライブ観戦
[AFTER]
□ 住所
松江市
□ 職業
団体職員
□ 住まい
実家
□ 趣味
ライブ観戦、サウナ、ドライブ
移住“前”の暮らし
コロナ禍で寂しさ募る中
職場の人間関係にモヤモヤ
入社当初は、コロナ禍でリモート研修が続きました。一人暮らしが寂しく、何度も望郷の念にかられては、自分を奮い立たせていました。しかし、ようやく仕事にやりがいを見つけ出した頃、職場の人間関係のこじれからモチベーションはトーンダウン。
島根に決めたワケ
懐かしい家族団らん
両親の言葉を機にUターン
島根県で暮らしていた頃は家族と過ごす時間が多かったのに比べ、一人暮らしのマンションでは、帰宅後に人と話す機会がなく、気が滅入りかけていました。そんな時、両親に電話で相談したら「帰ってきてもいいからね」と言われ、とにかく一旦、実家へ戻ることに。
移住のためにしたこと
定住財団にオンラインで
仕事の希望を伝える
会社を辞めると決めてから定住財団に連絡し、オンライン相談などでUターン後の仕事について相談。大学3年の就職活動の際、定住財団の「しまね学生登録」に登録していたため、就職後も定期的に各種資料などが届いており、心理的にもアクセスしやすかったですね。
“今”の暮らし
新天地でスキルアップ
休日は県外でライブ観戦
中小企業の経営支援を行う特別法人に就職。各種制度などについて勉強したり、企業の幹部と話をしたりすることが多く、日々やりがいを感じています。休日は、関西や関東まで出向いて、好きな“推し”のライブに足しげく通うほか、サウナでくつろぐことも。
山内さんの体験談を動画で紹介!
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癒しを求めて日帰りドライブ
最近はサウナにハマっています
プロバスケの応援にも夢中!神戸に住んでいた頃は、買い物をしたり、外食に出かけたり。消費することが多かった一方、島根に戻ってきてからは癒し要素が増えた気がします。そのひとつがサウナ。島根県内にも新しいサウナスポットが増えていて、行きたいところもたくさん。ドライブも好きなので、島根のお隣、鳥取県米子市の皆生温泉に行くことも。あと、以前から球技が好きで、今は島根のプロバスケットボールチーム、島根スサノオマジックの大ファン。自分が住んでいる街に強豪クラブがあり、気軽に応援へ行けるのはいいですね。
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丁寧でやさしい島根の人たち
空気のおいしさにもびっくりUターンしてから感じるのは、島根の人のやさしさ。コンビニやチェーン店の店員さんも、お客さん一人ひとりに向き合って、余裕を持って丁寧に接客してくれているように思います。関西のほうでは気質なのかもしれませんが、テキパキしているためか、時にせわしなさを感じていたので余計ですね(苦笑)。あと、空気がおいしい。大学の時に初めて感じたんですが、松江に帰省してバスを降りた瞬間、「空気が違う!」って分かったんです。「田舎と都会では空気が違う」とは知っていても、体感すると衝撃でした。私だけじゃないようで、地元の友達と会うと同じような話を聞きます。
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Uターンして気付いた島根の食の豊かさ
大好きな母の味も癒しに高校生まではまったく意識したことがなかったんですが、大学進学後、島根に帰省するたび、食の豊かさやおいしさに驚くようになりました。今は何を食べてもおいしくて。特に旬のものやお魚はとびきり美味ですね!元々、海鮮系、特にカニが好きなんですが、神戸では高いし、全然食べませんでした……。確かに都会では、一人でも気軽に入れる店が多く、外食もよくしていましたし、魅力的なお店もいっぱい。でも、今は母が作る家の食事の方がおいしいからほとんど外で食べないですね。普段のお昼ご飯は、自分でお弁当を作って職場に持って行っています。
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収入は約半分にダウン
実家暮らしで支出も抑制
推し活も満喫中です収入は約半分に減ったものの、実家暮らしなので家賃はタダ、多少生活費として親に渡す程度。神戸では家賃含めた生活費全体で約10万円かかっていたので、実質的に自分で使えるお金はあまり変化がありません。今の職場は東京出張が時々あり、飛行機の便利さを実感。かつては趣味のライブ観戦は関西メインでしたが、関東にも足を延ばすように。飲み会や百貨店で美容品を〝爆買い〟することが減った分、東京への交通費に充てることも可能になった感じです(笑)。一人暮らしもしたいですが、松江市内は割と家賃が高いうえ、引越せば車も必要になるし、もう少し先かなぁ。
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ハローワークと定住財団を行き来
新たな職場でやりがい感じる一人暮らしに憧れて神戸市内の大学に進学。大好きな〝推し〟のライブ観戦へ気軽に行けるようになったうえ、オシャレなカフェや雑貨店、アパレルショップなども多く、都会暮らしを満喫していました。就職活動も関西中心に行い、神戸市内に事務所がある生命保険会社に決まりました。
しかしコロナ禍で、東京で行われる予定の入社式が関西での開催に変更され、さらに当日現地に行くと式自体なくなっていました。それから1か月半、上司と電話でやりとりしながら、一人自宅で研修資料をめくる日々。職場以外の人と話すことがまったくないため気が滅入り、家族がいる島根に帰りたいと強く思うようになりました。その後、対面での研修を経てスタートした保険のセールスは、何気ない会話の積み重ねが成果に繋がる点がおもしろく、仕事自体にはやりがいを感じていました。しかし、職場の人間関係に疲れ、これを機に退職。実家に戻って就職活動を始めました。
ハローワークと定住財団を行き来する日々。保険会社での経験からノルマがある営業や、あまり得意ではない事務仕事は避け、最終的に土日が休みの今の職場に。職場探しに約半年間費やしましたが、実家暮らしだったのと、ハローワークで紹介された仕事を定住財団の方に相談する中で、自分の気持ちも明確化することができ、不安はありませんでした。
中小企業の経営支援をメインとする職場なので、各企業の幹部の方とお話する機会が多いです。各種補助金や制度を学ぶ必要もあり、勉強し、増えた知識が人の役に立つのがうれしいですね。