しまね教育白書

移住を考えるとき、いろいろなことが気になると思います。
特に小さなお子さまのいるご家庭なら、移住後の幼児教育施設(幼稚園や保育所など)や、
小学校や中学校、高校、さらには大学進学までのこと。
また、これらの環境や内容、必要となるお金のことなど。
島根県の教育などに関するアレコレをまとめてみました。

保育環境の充実と
幼児教育の推進

島根県が策定している「島根創生計画」で挙げられるのが、「保育環境の充実」と「幼児教育の推進」。保育の「質の向上」のため、市町村と連携し、保育所等の運営支援、保育士の確保・定着支援、保育所等の労働環境改善などに取り組んでいます。
同時に、「幼児教育の質の向上」も推進しており、研修を実施するなど幼児教育に携わる人材の資質向上を図っています。

保育所等の待機児童数0人

幼児教育と小学校教育を
円滑にするための
「幼小連携・接続」を推進

幼児教育と小学校教育を円滑にするために行っているのが、「しまねの幼小連携・接続」というもの。
幼児期から児童期にかけて連続的に成長する子どもたちが、小学校生活に適応して意欲的に過ごせるよう、幼児期の教育と小学校教育が相互理解を深め、子どもたちが生き生きと学ぶために必要な支援をしています。幼児期の学びを土台に、小学校以降の学びをスムーズに発展させることができるとされています。

のびのび過ごしながら
特色ある育成をする園が
たくさん

幼児教育と小学校教育を円滑にするために行っているのが、「しまねの幼小連携・接続」というもの。
島根県の幼稚園、保育所、認定こども園は、多くが環境を活かしてのびのびと過ごせるようにしつつ、園によって独自のカリキュラムを用意し、子どもたちの育成にも力を入れています。気になる園は積極的に見学されることをおすすめします。

病児病後児保育を促進

江津市

認定こども園 あさりこども園

大人もワクワクする
子どもファーストの園庭
「人生の基礎づくりのおてつだい」を基本理念に、子ども一人ひとりの持つ個性を認め、個々の育ちに必要な環境を用意。園庭は遊びの中で体験してほしい運動、経験が可能になるよう意識して作っているそうです。

出雲市

認定こども園 比津ケ丘保育園

木に囲まれ、触れ、自然とともに育つ園
浄土真宗本願寺派源光寺が背景にある認定こども園。特徴的な園舎は木をふんだんに使っていて、多くの玩具も木製。園児が走り回れるほど広い園庭には若木が植わり、井戸水を汲み上げるポンプや築山なども。自然を感じながら過ごせます。

出雲市

認定こども園 光幼保園

茶会を通して礼儀正しさが身に付く
45年超の歴史を持つ保育園。「健康で心豊かな思いやりのある子どもを育てる」方針で、日本文化や歴史の伝承に触れる大切さを尊重。定期的に茶道や日本舞踊、琴、和太鼓を取り入れています。
パパとママへ耳寄り情報
乳幼児期から本に親しむのに最適な施設が、島根県立大学松江キャンパスにある「おはなしレストラン」。2万冊以上の絵本を取り揃えた図書館で、誰でも利用が可能。
毎週日曜日には学生たちによる絵本の読み聞かせが行われるほか、季節に合わせた催しも実施されています。
※貸出には登録が必要です。
おはなしレストラン

学校・家庭・地域が一体となって子どもたちを育む
しまねの「ふるさと教育」

  • ふるさと教育
  • ふるさと教育

しまねの公立小中学校における特色ある取組として「ふるさと教育」があります。平成17年度からスタートしたこの取組は、県内全ての公立小中学校の全学年・全学級で推進されています。
地域の自然や歴史、文化、伝統行事や産業といった教育資源(「ひと・もの・こと」)を活かし、学校・家庭・地域が一体となって、ふるさとに誇りを持ち、心豊かでたくましい子どもを育むことを目的としています。

ふるさと教育の定義
地域の教育資源 (「ひと・もの・こと」)を活かした教育活動
ふるさと教育が目指すもの
〈地域〉・地域住民のふるさとへの理解促進
・地域を支える次世代の育成
〈学校〉・ふるさとへの愛着や誇りの醸成
・地域に貢献しようとする意欲の喚起

ふるさと教育事例

雲南市立掛合中学校ふるさと教育事例
地域資源を活用した「地域課題探究学習」を3年間の中学校生活を通して実施。その集大成として生徒によって企画・運営された「掛合町おこし大作戦」を開催。
浜田市立国府小学校
「ふるさと浜田のSDGsを考えよう」と題して、市の産業・文化に携わる人との交流等を通し、浜田を元気にするための提案を考え発表。問題解決のプロセスを方法知として学習。
邑南町立市木小学校
「ふるさと市木探検隊」として、歴史・伝統の残る市木地区について毎年実施。6年間かけて12か所巡り、学んだことを毎年保護者や地域の人々へ向けて発表している。
開かれた学びの場となった学校図書館

開かれた
学びの場となった
学校図書館

また、島根の公立小中学校の取り組みとして紹介したいのが図書館のあり方です。
島根県は公立小中学校及び高等学校において、平成21年度から子どもたちの読書活動推進を図るために学校司書を配置し「人のいる学校図書館」を実現しています。
そして令和3年度から始まった「学校司書等による学びのサポート事業」により、本を介した心の居場所づくりや人間関係づくり、また個別の学習支援、知識や考えを広げる図書の支援など、司書の役割を広げ、子どもたち一人ひとりへの関わりを大切にしたサポートを行っており、学校図書館の可能性を大きく拓いています。

知っていますか?複式教育

知っていますか?
複式教育

生徒数が少ない場合に、数学年を1クラス編制する複式学級において、その特色に応じた学習方法で行われる教育が「複式教育」です。
実は島根の公立小中学校・義務教育学校の約3割は国指定のへき地校であり、公立小学校の約34%が複式学級を有しています。
学年をまたぐクラスに不安を持つ人が多いかもしれませんが、少人数であるがゆえに、きめ細かい教育を受けられます。また、下級生は上級生の授業を耳にすることで、先々の授業への興味を持つようになり、それが日々の勉強の原動力につながるメリットがあります。

教育環境が充実している島根の高校

教育環境が充実している
島根の高校

自然豊かで歴史があり、文化や産業、温かな人間関係と地域社会。これらは全て教育における恵まれた環境に結びつきます。島根県はこの環境を活かして、学校のみならず、家庭・地域も一体となって魅力ある教育を推し進めています。
また、世界にも通用する人材を育成するため、情報通信技術(ICT)機器を整備するなど、時代のニーズにも対応した教育に取り組んでいます。さらに特色のある学科等が揃っており、学びや目的に合わせた進学先を選ぶことができます。

普通 普通科、地域共創科
商業 商業科、情報処理科、国際ビジネス科、情報システム科、マルチメディア科、総合ビジネス科
農業 植物科学科、環境科学科、食品科学科、動物科学科、生物生産科、環境土木科、生物環境工学科、産業技術科
工業 機械科、電子機械科、電気科、電子科、情報技術科、機械・ロボット科、建築科、建築・電気科、建築都市工学科
水産 海洋システム科、海洋技術科、海洋生産科、食品流通科
福祉 福祉科
体育 体育科
総合学科
国際関係 国際コミュニケーション科
理数 理数科、探求科学科
定時制課程 普通科、機械科、電気科、建築科
通信制課程 普通科
特別支援学校 普通科、保健理療科、産業技術科、美術工芸科、被服科

島根にはこんな高校があります

島根県立隠岐島前高等学校
隠岐・中ノ島(海士町)にある高校。
県内唯一の地域共創科では、地域での実践的・実際的な学びを展開し、「地域・社会と共にある学び」を提供し、グローカル人材の育成を目指しています。
島根県立浜田水産高等学校
海洋技術科、食品流通科を擁しており、それぞれに専門性の高い学びがあります。
日本海屈指の水産都市にあるため、水産・海洋教育を求めて全国から入学希望があることで知られています。
島根県立出雲高等学校
文科省のスーパーサイエンスハイスクールに指定されています。
探究的な学習を行うことで発信力や論理的思考力を身に付け、地域・社会のリーダーとして貢献できる人財を育てます。
島根県立大社高等学校
創立120年を超える歴史と伝統のある高校。県内唯一の体育科があり、島根のみならず全国の体育指導者を数多く輩出。令和6年夏の全国高校野球大会では93年ぶりにベスト8進出を果たし、その名勝負には県内のみならず全国で感動を呼びました。
しまね留学

県外在住の中学生が島根県の高校に入学、充実した3年間の高校生活を送れる「しまね留学」。将来、社会で生きるために必要な力を、豊かな自然や歴史・文化、温かい地域の方々に支えられながら育む、島根だからこそ提供できる教育環境が魅力です。

しまね留学

大学の選択肢は少ないが、学べる選択肢が多い

島根県内に設置されている大学は、国立大学である島根大学と県立大学の島根県立大学の2校5キャンパスのみと、非常に数が少ないのが実情です。
しかし、その分、学べる分野=学部の選択肢はとても多いのが特徴とも言えます。

国立大学法人 島根大学
1949年発足。通称・島大。2003年に旧島根大学と島根医科大学が統合し、現在に至ります。
法文学部、教育学部、人間科学部、医学部、総合理工学部、材料エネルギー学部、生物資源科学部の7学部と大学院があります。
▶ 松江キャンパス
法文学部、教育学部、人間科学部、総合理工学部、材料エネルギー学部、生物資源科学部
大学院(人間社会科学研究科、教育学研究科、自然科学研究科)
▶ 出雲キャンパス
医学部、大学院(医学系研究科)
公立大学法人 島根県立大学
1993年創立。2007年に旧島根県立大学、島根県立島根女子短期大学、島根県立看護短期大学が統合して現在に至ります。国際関係学部、地域政策学部、看護栄養学部、人間文化学部、短期大学部から成り、大学院や助産学の別科もあります。
▶ 松江キャンパス
人間文化学部、短期大学部
▶ 浜田キャンパス
国際関係学部、地域政策学部、大学院(北東アジア開発研究科)
▶ 出雲キャンパス
看護栄養学部、大学院(看護学研究科)、別科(助産学専攻)
医療系が揃う島根の専修学校
県内の専修学校は医療系が多いのが特徴。県立の高等看護学院をはじめ、国立病院機構附属の看護学校、歯科技術専門学校や総合医療専門学校、リハビリテーションと揃っています。多岐にわたる学科を持つビジネスカレッジや美容系、IT系、調理系の専門学校のほか国立高等専門学校も。専門性が高く、実践に即する学びの場がたくさんあります。
高校卒業後の進路は?

しまねの奨学金一覧

公的奨学金 ・公益財団法人島根県育英会
・島根県高等学校定時制課程等 就学奨励資金
医療系学生向け奨学金
※返還免除制度あり
・島根県医学生地域医療奨学金
・看護師等修学資金
・島根県民医連
民間奨学金 ・一般財団法人マルヂ報恩会
大学独自奨学金 ・島根大学
市町村奨学金 ・松江市 (貸与型・給付型) ・益田市 (貸与型)

※2024年9月1日時点の情報です。
※詳細については各団体や各市町村等へお問合せください。

しまねからの
大学進学を見据えて、
ライフプランを
しっかりと

島根では実家から大学へ通うのはレアケースと言われています。
その要因は県内の4年制大学が2校しかないこと。さらに交通アクセスが悪いことも大きな理由です。仮に出雲から松江に進学したとしても、公共交通機関で通学するのはかなり大変だと言わざるをえません。県内でさらに遠方となると通学は難しいでしょう。そうした理由から県外の大学に目が向きますが、いずれにしても一人暮らし、あるいは車を持つ・持たせる、という選択肢しか出てきません。
つまり、島根で大学に通わせるためには、進学に掛かる費用や進学後に掛かる学費のみならず、子どもが大学に通う間に掛かってくる諸々の費用が大きくなりがちだと言えます。
ご家族で移住する上で教育についても考えるなら、こういった諸費用についても同時に考える必要があります。先にご紹介した奨学金制度などの活用も含めて、しっかりとライフプランを練り、大きくなった我が子を送り出せるように備えていきたいですね。