こんにちは!山陰のタウン情報誌「ラズダ」編集部べーやんです。自然豊かな島根県に住んでいると「珍しい動物」に出合えることがあります。個人的に最も気になっている目撃談は「野生のイルカを見た」とのうらやましい情報・・・。
そこで今回は、「本当に島根で野生のイルカが見られるのか」を検証すべく、過去目撃された松江市美保関町へ足を運んでみました!
野生のイルカにあいたい!早朝の美保関町で張り込み調査
AM6:30 美保関町に到着
10月某日、珍しく早起きをして島根半島の最東端である松江市美保関町へ。事前情報によると、イルカが目撃されたのは、美保関町福浦の境水道。宍道湖、中海と流れてきた汽水が日本海に出ていく水道で、釣りのスポットとしても有名です。また山陰の県境とあって、対岸には鳥取県境港市の街並みが見えます。本当に野生のイルカがいるのでしょうか・・・!
美保関町福浦の境水道。Googleマップでも「イルカpoint」として登録されています。独りの早朝ロケは少々寂しいので、同じくラズダ編集部のみずっちを招集。もともとアウトドア好きの男とあって、やる気満々。「役立ちそうなアイテムを持ってきましたよ!」と言うので見せてもらうと・・・
な、なんか担いでる・・・みずっちが持参したのは、双眼鏡、折り畳み椅子、そしてタモ。私は思わず目を疑いました。彼はタモをいったい何に使うつもりなのでしょうか。
タモは要らん!捕獲するわけないだろ!
あ、す、すみません!ちなみにべーやんさんは何持ってこられました?
オシャレな椅子、大量のおやつ、iPadですか・・・
待ち時間も退屈しないようにと思って
何考えているんですか?キャンプ気分ですか!?今すぐしまってください!
す、すみません・・・
AM6:45 地元民に聞き込み開始
平日の早朝にも関わらず、防波堤付近には釣り人がちらほら。なかなかイルカの姿が確認できないため、「サワラを釣りに来た」という夜勤明けの男性に話を聞いてみることに。
「美保関で釣りをするのは週1回程度。朝から昼過ぎまで楽しむのが常」とのこと。
イルカについて訊いてみると、実は4年くらい前から2頭がこの境水道に住み着いているとのこと!す、住み着いている・・・!?「どうやら近年は1頭増えて、3頭いるみたいですよ」とも教えてくれました。
住み着いた理由は不明ですが、3頭も住み着いているとなると、発見確率はかなり高そう。
ついでに「イルカが見られる時間帯はいつごろですか?」と訊いてみると、男性の口から驚きのひと言が。「正確には分かりませんが、午前中に来るとだいたい毎回見れています」
「え、毎回!?」
「ほら、あの赤い灯浮標の近くで泳いでいますよ」
AM7:00 野生のイルカ発見!
慌ててみずっちに報告をし、持参した双眼鏡で灯浮標付近を確認してもらうことに。ていうか、そんな玩具みたいな双眼鏡で見えるのか・・・?
おお!ホントだ、イルカいました!
背びれの大きさから、体長は2メートル程度でしょうか。灯浮標付近をずっと見張っていると、およそ5分間に3回程度と高い頻度で背びれを目撃できました。確認できたのは背びれのみでジャンプこそしてくれませんでしたが、無事にイルカの存在を確認できて何より。
無事にイルカを発見でき、7:30に無事撮影終了!住み着いているせいか、境水道のイルカは出現頻度が高く、午前中であれば高い確率で発見できそうです。ちなみに島根県内では、美保関町七類の岸辺、出雲市多伎町の海辺でも目撃情報があるイルカ。珍しい動物に出合えるのも、自然豊かな土地だからこそですね。
美保関町のイルカ
発見地:島根県美保関町福浦[イルカpoint]
まだまだいる!島根県で発見できる珍しい動物
オオサンショウウオ
国の特別天然記念物として知られるオオサンショウウオ。大きな個体になると全長約150センチ、体重30キロにも達する世界最大級の両生類。古来より姿を変えず生存しているため「生きた化石」ともいわれています。
島根県内では邑智郡邑南町などの清流に生息しており、同地では親しみをこめて「ハンザケ」と呼ばれています。「ハンザケ」の由来ははっきりしませんが、口が大きくて半分に裂けて見えるからだとか。
オオサンショウウオを飼育する『瑞穂ハンザケ自然館』
とはいえ、探してもなかなかお目にかかれないのがオオサンショウウオ。実は邑南町には、生きたオオサンショウウオを飼育展示している施設があるのです!それがこちらの『瑞穂ハンザケ自然館』。
「瑞穂ハンザケ自然館」写真提供:瑞穂ハンザケ自然館生きたオオサンショウウオを間近で観察できるほか、「ハンザケ」の不思議な生態についても詳しく学べる学習施設。2013年には、展示の水槽での人工産卵にも成功しました!館内では、5歳のオオサンショウウオなども飼育展示されています。※オオサンショウウオの寿命は50~60年と言われています。
瑞穂ハンザケ自然館
電話:0855-83-0819
住所:島根県邑智郡邑南町上亀谷475 [MAP]
営業:9:00~16:00
定休:月・火曜、祝日の翌日、年末年始
料金:【入館料】大人310円、小中学生160円
カリガネ
国内ではごくまれな冬鳥として知られ、マガンの群れに交じって渡来する野鳥。見た目はマガンによく似ているものの、より小型で、翼長は38cm程度。成鳥のくちばしはピンク色で短く、眼の周りには黄色いリングがあるのが特徴です。
松江市の宍道湖とその周辺には、毎年約4000羽のマガンが渡来。その中に1~数羽交じっているのがほぼ毎年のように確認されています。
マガンとカリガネを見分けるのはかなり難しそうですが、興味がある方はぜひ双眼鏡片手に宍道湖周辺へ出かけて、根気強く探しに出かけてみてはいかがでしょうか!?
写真提供:「改訂しまねレッドデータブック」より(佐藤仁志氏撮影)編集部の朝活!宍道湖で野鳥ウォッチング
実は今年1月下旬、宍道湖へマガンの群れを撮影しに出かけました。集合は、日の出前の早朝6時半、場所は出雲縁結び空港の近くにある『宍道湖西岸なぎさ公園』。真冬なので気温はたったの1度!本当に本当に寒かったです。
「マガン」は宍道湖や斐伊川をねぐらとしているため、1~2月の朝は、日の出とともに一斉に飛び立つ瞬間が見られたり見られなかったりするとか。宍道湖周辺には、朝からいろいろな鳥が飛び交っていて、見間違えることもしばしば。
「あ!あれはひょっとしてマガン!?」
「あれはカラスだね」
「・・・」
そんな会話をしながら、マガンの群れを待つこと約1時間。近くの出雲縁結び空港から始発の飛行機が離陸。その音が合図だったのか、多方面からマガンの群れが一気に飛来してきました!
斐川の上空にどんどん集まってくるマガンの群れ。早起きして集まった甲斐がありました♪
当時はカリガネの存在を知らなかったため、撮影当日はマガンの群れの撮影にとどまりましたが、ひょっとしたらこの中にカリガネが混じっていたのかも・・・?
オキノウサギ
島根県隠岐地方固有の生き物で、隠岐の島、西ノ島などで発見されているノウサギ。体長はおよそ50センチ、耳の長さは9センチ程度です。
冬になると体毛が白色に変化するウサギも多い中、オキノウサギは冬でも褐色のまま。一般的な飼いウサギと比べると体全体は大きいものの、耳と足が短いのが特徴です。
独自の生態系がみられる隠岐地方では、このほかにもオキタゴガエル、オキヒミズモグラ、オキサンショウウオなど、さまざまな固有の動植物が今もなお生存しています。
「オキノウサギ」写真提供:(一社)隠岐ジオパーク推進機構島民にとっては珍しくない?
隠岐出身の方なら、きっとオキノウサギを目撃したことがあるはず!ということで、本サイト「くらしまねっと」を運営する「ふるさと島根定住財団」さんの中に、隠岐出身者の方を発見!オキノウサギについて聞いてみました。
オキノウサギを目撃したことはありますか?
崖にいるところを見たことがありますよ
え、スゴい!本当に見たことがあるのですか!?
畑に普通にいたり、タケノコの柔らかい部分だけ上手に食べたりします
タ、タケ・・・
タケノコをかじるオキノウサギ。なんとほのぼのしい姿でしょうか。想像しただけで癒されます。
島民ともなれば何度か目撃していて、それほど珍しい存在というわけではないのかもしれません。ということは、島に行けば意外と簡単に出合えるかも?
ちなみに島根県立隠岐高校では、生徒たちがオキノウサギの生態を詳しく調べたり、オキノウサギを観光資源とするためにパンフレット制作や商品開発に挑戦したりしています。
隠岐を訪れた際には、島固有の動物たちを散歩がてら探し歩いてみるのも楽しそうですね。
※こちらの記事は2024年12月公開