みなさん、こんにちは。山陰のタウン情報誌ラズダの編集部いしやんです。
島根県とひと口に言っても、市町村ごとで文化・暮らしぶりもガラッと変わります。これも、東西に長~い島根県ならではの特徴。なので「島根県、気になるけどどんなトコ?」と、調べてもいまいちピンと来ない方も少なくないハズ。
そこで今回は、島根の日常生活の“あるある”的なワンシーンを、音にフューチャーしてピックアップしてみました。生活音とも言うべきものばかりで、地元民にとってはありふれたシーンも、ひょっとするとあなたの心にはジーンとくるものがあるかも?
今回は松江市・出雲市・奥出雲町・浜田市・津和野町から、“音が聞こえてきそう”なワンシーンをご紹介します!
【松江市】宍道湖の畔
湖面をなでる涼風を受けながらランニング
島根県松江市は“水の都”と呼ばれ、水辺の景観に富んだエリア。特に宍道湖(しんじこ)は、松江市を象徴するロケーションのひとつです。絶景スポットとして、県内外から観光客が訪れる場所ですが、市民にとっては憩いの場所。ジョギングやウォーキング、サイクリングに、愛犬を連れてのお散歩など、過ごし方もいろいろです。
打ち寄せる波の音をBGMに、湖面をやさしくなでる風を受けながらのお散歩は、格別の癒し時間。休みの日はもちろん、仕事の合間に立ち寄れば、ざわつく心もスッと落ち着けますよ。
春夏秋冬で様々な表情を見せてくれる宍道湖。なんですが時間帯によって表情を変えるのも魅力のひとつで、私のオススメは夕方。あたりが朱色に染まるドラマチックな景観が広がります。そんな中を走れば・・・、説明は不要ですよね!
夕方と並ぶオススメは早朝でしょうか。宍道湖の畔は交通量も多いんですが、早朝ともなれば別。しじみ漁の漁船から響くエンジン音、風や波の音。無心になれる特別な時間帯です。
【出雲市】ウミネコのいる風景
大空に舞うウミネコと、叫びたくなる海景色
「出雲」と聞いて、ほとんどの人が真っ先に名前を挙げる『出雲大社』。あまりにも有名な『出雲大社』ですが、そのお社がある出雲市は海の街でもあります。『出雲大社』から北へ約9kmの場所に広がる、出雲市大社町日御碕。島根半島の西端に位置する日御碕は、日本海に面したベイエリアです。イカをはじめとする海産物も豊富で、国立公園の一角として海の絶景も。
日御碕のシンボル、白亜の灯台『日御碕灯台』。そこからすぐの場所にある展望台からは、ウミネコの繁殖地である「経島(ふみしま)」を一望。「ミャーミャー」と猫のような鳴き声と共に、大空へ向かって羽ばたく様子を間近に見られます。岩場に砕ける水しぶき、青空の中を飛ぶウミネコ、そして神域でもある「経島」。自然の音と景観だけがこだまするこのロケーションは、人工物が少ない分、最高の没入空間かもしれませんね。
海の街、加えて観光地でもあることから、あちこちから「ジュ~ジュ~」という音と共に、食欲をそそる香りが鼻をくすぐります。魚介のうま味をダイレクトに味わえる海鮮焼き、いろんな魚介を一度に楽しめる海鮮丼など、港街だけあってお店や料理の種類も多彩。
自然の音風景で心を満タンにした後は、うまいモンでお腹の栄養補給も忘れずに!
【奥出雲町】どこまでも続くような水田
のどかな日本の原風景からは賑やかな合唱の音
「ゲコゲコ」、「ゲロロ~ン」と聞こえてくるのは、奥出雲町の田んぼ。島根県の山間部・奥出雲町は、県内屈指の米処。全国区の品評会で受賞歴がある地元のブランド米・仁多米の産地です。田んぼに水が張られる初夏、鼻をかすめる草の香りの向こうから、カエルたちの合唱が響き渡ります。
牧歌的な風景がそこかしこに広がる奥出雲町。人口が集まる松江市や出雲市からは、場所にもよりますが、だいたい車で1時間程度の距離。職場は松江市や出雲市だけど、住まいは奥出雲町という方も少なくありません。忙しくする場所=職場は人口の多いエリア、住まいはひと気が少なく自然の多いエリア=奥出雲町。オンオフを切り替えるために、あえて田舎で暮らすのも一策ですね~。
車の運転は手間だけれど、車内は混んでいないし、鼻歌だって歌っていい。カエルの合唱と合わせてドライブなんてどうでしょう?
そうそう、奥出雲町では食育も盛ん。田植えシーズンの初夏には、町外の人が参加できる田植え体験も開催していますよ。子どもを連れてフラッと参加してみるのもいいですね。田植え体験後にはおいしい仁多米のおにぎりを食べられるかも!?
【浜田市】石見神楽のお囃子
祭りといったら石見神楽。老いも若きも一堂に
浜田市のある島根県西部は、通称・石見(いわみ)地方といって、伝統芸能「石見神楽(いわみかぐら)」が盛んな地域。豪華絢爛な衣装を身にまとい、「どんちっち」のお囃子に合わせて、神話の世界を演舞で表現するんです。元々はその年の豊作を祝う、秋祭りで夜通し舞われたものがルーツ。発祥から長い年月の間、脈々と石見人に受け継がれてきた伝統芸能は、石見地方を象徴する文化ですね。
秋ともなれば、街のあちらこちらから賑やかな笛や太鼓の音。浜田市ではお祭り=石見神楽と言っても過言ではありません。私自身、浜田市に住んでいましたが、友達から「今日祭りあるよ!」と聞いて行ってみれば、十中八九、石見神楽でした。みなさんが思う秋祭りとはまったく雰囲気が異なるものの、小さい子どもから大人、おじいちゃん・おばあちゃんまでが石見神楽に夢中になる様子は、街がひとつになったような感覚で、不思議と心地良かったのを覚えています。
浜田市には、石見神楽の文化を守るための「社中」と言われる団体がたくさんあります。大人だけでなく「子ども神楽団」のような団体もあり、子どもも積極的に参加。「今日、神楽の練習だけぇ、先に帰るわ!」なんて、都会では聞きなれないフレーズも、ここ浜田市では日常茶飯事。子どもの頃から地元の文化に馴染み、日常生活に息づいているのも、浜田市の魅力なのかな~。
【津和野町】なまこ壁と石畳
城下町の面影が色濃く残る町は先進的な教育でも話題
島根県の西端に位置する津和野町。古くから城下町として栄えた場所で、“山陰の小京都”と呼ばれるほどに、かつての町並みが大切に保存されています。本町通りから殿町通りまでは石畳みの道が続き、道沿いの水路には鯉の姿。観光客の姿も多いメインストリートですが、ここも立派な生活道路なんです。
学校帰りの学生さん、買い物帰りの奥様方、愛犬を連れてお散歩中のご老人。「カツーン」、「コツーン」と音を鳴らしながら、みなさん思い思いの時間を過ごしています。城下町の歴史・文化の中で、令和の今なお人々の営みが続いている、とっても情緒に富んだ町!
城下町だけあって、何だか古さが先行しがちですが、実は先進的な取り組みが活発に行われている地域。特に教育面は充実していて、無料の町営英語塾があったり、地元の津和野高校は積極的に大人とディスカッションしていたり。町ぐるみでの関りが度々話題になっています。
「古い(歴史)」と「新しい」が調和している津和野町。子どもたちだけでなく、新しいコトにチャレンジしたいと思っている方の背中も、きっと押してくれるハズ!
※こちらの記事は2022年6月公開