株式会社Community Careの求人情報

たくさんの笑顔があふれる町を目指して。
地域医療の未来を創る仲間を募集しています。

訪問看護・リハビリ(島根県 雲南市)

高齢化が25%を超え、世界の中でも突出した長寿国になった日本。その中でも特に高齢化が進む島根県で、3人の若手看護師が「訪問看護ステーション コミケア」を開設しました。「住みなれた場所で、その人らしく幸せに暮らせるように。」患者さんにやさしく寄り添い、地域医療の未来を力強く切り開く、株式会社Community Care(以下コミケア)の皆さんにお話を聞きました。

雲南市の大通りから一歩入った、落ち着いた地元感漂う商店街の一角。笑い声が響くサロンをのぞくとそこが「訪問看護ステーション コミケア」でした。コミケアは若者の起業をサポートする市の事業に採択され、2015年に訪問看護事業をスタートしました。在宅医療の空白地であった雲南市の山間部の地域医療を支えることを目指し、訪問看護、訪問リハビリ、元気なうちからの健康作り(予防活動)を中心に活動しています。目指すまちの姿を「みんなで創る幸せな人が溢れるまちづくり」とし、暮らしの身近なところで住民と共に、街に必要なケアを創っていくことを大事にし、「たくさんの幸せな瞬間をプロデュースする」を企業理念に、一人ひとりの患者さんに寄り添ったサービスを提供しています。

2016年には株式会社となり、雲南市の地域医療のパイオニアとして、また女性活躍推進のモデルとして、益々注目を集めるコミケアの皆さんにお話をうかがってきました。

まず初めにお話を聞かせてくれたのは所長を務める安達弓恵さん。コミケアの起ち上げ秘話を教えていただきました。

コミケアは私を含め3人の女性看護師で起ち上げました。当時は皆20代で、病棟看護のジレンマ、予防医療や訪問看護への関心など、それぞれが医療現場に対して課題意識を抱えていました。

そんな時に、雲南市で地域医療を盛り上げるため活躍しておられたNPO法人おっちラボ代表理事の矢田明子さんと出会いました。発足メンバーの3人はお互いに面識はありませんでしたが、偶然にも3人ともこの矢田さんと知り合い、それがご縁で同じ志を持つ仲間として、雲南市に移住しコミケアを一緒に起ち上げることになりました

運命的なご縁が発足に繋がったというコミケア。安達さんをはじめ、発足メンバーの皆さんは医療現場のどのような部分にジレンマを抱き、どんな夢を描いていたのでしょうか?

病院は、集中的に治療が必要な方が集まる場です。大勢の患者さんのケアをしなければならないため、その人らしさを尊重して看ることが、したくてもなかなかできませんでした。

例えば、看護師は入院中の患者さんのもとに度々顔を出すのですが、体拭き、検温など一つ一つの時間が短く、ゆっくり向き合う時間が無かったり、患者さんの普段の生活リズムに関係なく、病院のスケジュールでお食事や入浴をしていただかないといけなかったり。仕方ないことですが、もっと1人1人に寄り添ったケアを提供したいという気持ちが強くありました。

病院には病院の素晴らしさがある。しかし、病院という形ではどうしてもできないこともある。にこやかでハツラツとした笑顔が素敵な安達さんですが、医療の話をする表情は真剣そのもの。お話をうかがっていると、その信念の強さがひしひしと伝わってきました。

今では地域の方々から絶大な信頼を得ているコミケアですが、発足当時の逆風は並大抵のものではなかったそう。

三刀屋町には今まで訪問看護ステーションがありませんでした。だからこそこの地に事務所を構えたのですが、地域の方は「病気は病院で治療するもの」という意識が根強く、訪問看護って何…となかなか理解してもらえなくて、病院やケアマネージャーさんのところに飛び込みで営業に行ったり、公民館で色んな地区の方に案内して回ったり、軌道に乗るまでの1年間は本当に大変な日々でした。

この辛い日々の中で、「絶対に利用者さんが分かってくれるから、しっかりした看護をしよう!」と励まし合い、患者さんのために全力で看護を行っていた安達さんたち。その姿勢や患者さんに寄り添った看護に感動した利用者の方からの口コミが広がり、今ではコミケアは地域に欠かせない存在となりました。
活躍の幅も徐々に広がり、1年目は訪問看護とサロン活動のみだったところに、2年目からはリハビリスタッフが加わって訪問リハビリもスタート。さらに予防医療の分野など患者さんのための新事業にチャレンジしています。

新しい試みをするにあたっても、コミケアでは「今度こんなサービスを始めます!」ではなく、地域の方へのヒアリングや、他のサロンに通うなどして、地域のニーズを拾ってサービスを形作っていくそう。「誰かのために力になりたい」という、ぶれない気持ちがコミケアの原動力であり、地域の方々から信頼される理由なのだと感じました。

Q.地域の方や患者さんにじっくりヒアリングしたからこそ、初めて分かった問題点や課題はありますか?

そうですね、以前リハビリスタッフに膝の痛みを相談された患者さんがおられました。要介護認定が付く程ではありませんが、膝痛は日常生活も辛いですよね。じっくりお話を聞いていると、その方はとてもお洒落が好きだということが分かりました。

そこで下駄箱を見せていただくとハイヒールが並んでおり、膝の痛みは生活習慣からきていることが分かりました。その患者さんには低めで安定したヒールの靴を履くようにしていただいたところ、膝痛が治ったということがありました。

この事例から、暮らしの中にリハビリが入り、原因を根本的に解決していくことで、医療保険や介護保険を使わずに不調を取り除くこともできるのだと実感したそう。コミケアではこの出来事をきっかけに、雲南市のスぺチャレ(スペシャルチャレンジ)という新規事業をサポートする制度に応募。生活習慣からきている腰痛、膝痛などを雲南市民と一緒に考え、共に解決策を探り解決を目指す新事業を展開していくことが決まっています。

雲南市には現在4つの訪問看護ステーションがあります。その中でも独自の取り組みで注目を集めるコミケアは「訪問看護・リハビリ」、「元気なうちからの健康づくり」、「学び合いのネットワーク作り」を3本柱としています。この学び合いのネットワーク作りの中で、とても面白い勉強会をしていると教えていただきました。看護、介護、福祉関係者、学生を対象とした大反響の勉強会。一体どのようなことをしているのでしょうか?

年1回の勉強会には、雲南市の方はもちろん県外からも沢山の方に参加していただいています。地方で働くと同僚が少なくて孤立感を感じることもあるので、勉強会を通して施設や職種を超えてネットワークを作ってもらえればと思っています。内容は毎年練りに練っていて、どうやって楽しくしようかと真剣に考えています。

Q.昨年は学生をターゲットに勉強会をされたそうですが、どんな内容でしたか?

地域には私たちのような訪問看護職、訪問介護、ドクター、福祉用具の販売店さん、ケアマネージャーさんなど沢山の医療・福祉関係者がいます。その職業をアニメキャラクターに例えて、チームを作りあげるというワークショップをしました。職種とその役割を学生さんに知ってもらうのが目的で、とても盛り上がりましたよ。

この勉強会をきっかけにコミケアを知り就職された方、理念に共感して石川県と島根県を行き来しながら訪問看護に従事している方など、コミケアの仲間の輪は一回り大きく広がりつつあります。

今は約10人のメンバーで運営していますが、今後は15人以上の規模に拡大していきたいと思っています。私たちは「たくさんの幸せな瞬間をプロデュースする」という、熱い想いを持って仕事をしているので、ただ規模が大きくなれば良いのではなく、人数が増えても全員が理念を共有し、同じ方向を向いて働いていける、そんな組織にしていきたいと思っています。

Q..最後に求職者の方にメッセージをいただけるでしょうか?

同じ看護職でも、病棟なら皆で患者さんを見るのに対して、訪問看護は患者さんのご自宅に行って、一人で看護しなければいけません。そのためハードルが高いと感じる方もいると思いますが、『看護の楽しさ』を心から実感できる仕事だと思います。看護が好きな方、人が好きな方にぜひコミケアに来てほしいと思っています。
そしてもう一つ、私たちは新しい事にも積極的に取り組んでいるので、チャレンジすることを恐れない方、ぜひコミケアで一緒に働きましょう!

優しさと強さ、そして類まれなる行動力を併せ持つ安達さん。これからも前進あるのみと、活躍していく姿が目に浮かぶようでした。

続いて起ち上げからの初期メンバー、古津さんにお話をうかがいました。
古津さんも元々は病棟で勤務していたそう。もっと患者さん1人1人に寄り添った看護をしたいと考えていたところ、安達さんと共通の知り合いの誘いで一念発起。東京の病院を退職し、雲南市でコミケアの立ち上げメンバーの1人として尽力して来ました。そんな古津さんに病院と訪問看護の違いについて教えていただきました。

Q.病院での看護と、コミケアでの訪問看護では何が一番違いますか?

一番はお客様との距離感です。病院は“病院”という医療を提供する場所に来た患者さんに対して一定のルールのもと医療行為を行いますが、訪問看護は患者さんのご自宅という“生活の場”にうかがって看護をします。なので、利用者さん1人1人がご自宅でどのように過ごしているのか考え、それに対応していかなくてはなりません。訪問看護はサービス精神やホスピタリティが必要となります。

はつらつとした笑顔がすてきな古津さんですが、安達さんと同じく、看護について語るときはキリっと表情が変わります。志を持ってお仕事をされている芯の強さ、そして楽しさだけでなく患者さんの家という最もプライベートな部分に関わっていく大変さ、難しさもたくさん経験された古津さんが語る言葉からは、上辺だけではない重みが伝わってきます。

病院ではなく、ご自宅に居たいという患者さんは大勢いらっしゃいます。でもご本人が訪問看護を希望していてもご家族の方が乗り気ではないケースもあるんです。家というプライベート空間に他人が入るわけですから、そのように感じるお気持ちもよく分かります。なので看護だけでなく、患者さんやご家族様のことをいかに考えられるかが大切です。コミケアのスタッフはみんな人を喜ばせるために全力投球です。会社の多目的スペースで毎月1回行うサロン活動の出し物は凄いですよ!私は落語をしましたが、マジックをする人も居ますし、社内で劇団コミケアを結成して全力で寸劇もします。

「もっと患者さんに寄り添った看護をしたい」「人のために頑張りたい」という人が集まって起業されたコミケアでは、だれかのために頑張ることは特別ではなく当たり前。その前向きな力が集まり、足し算ではなく掛け算でパワーアップしている。そんな勢いを体感しました。

患者さんのことを真摯に考えて対応してくれるコミケアに信頼を寄せる地元住民の方は多く、夜中に具合が悪くなった患者さんが救急車ではなく、コミケアの職員さんにお電話されることも少なくないそう。

お電話をいただいたら状況を確認し、救急車の手配や患者さんのところに向かうこともあります。でも全てが緊急事態というわけではなく、ゆっくりお話を聞くことで安心して落ち着かれることもありますよ。

病院と訪問看護には実はスキル面でも大きな違いがあります。病院は診察する科が決まっているので自分の担当の科で必要な知識を養いますが、訪問看護は患者さんのご年齢も病気の種類、症状も様々です。腰痛やひざ痛もあれば、癌のようなご病気、要介護認定を受けておられる方、精神面のこと、先天的な症状がある赤ちゃんも。本当に様々な患者さんの様々な症状に対応しなければなりません。中には対応するために資格が必要なものもあるので、学ばなければならないことはたくさんあります。

責任の重さ、学ぶことの多さに圧倒されますが、古津さん、安達さんをはじめ、コミケアの皆さんからは後ろ向きな雰囲気を全く感じません。そのバイタリティの源がどこにあるのか、発足メンバーでもある古津さんにこんな質問をしてみました。

Q.コミケア最初の患者さんはどんな方だったか覚えておられますか?

もちろん覚えています。絶対に忘れません。事務所のご近所の方で、病院ではなく住み慣れた自分の家で過ごしたいとのご希望だったので、自宅で看護が受けられるのをとても喜んでくださいました。そして、そのままご自宅でお看取りもさせていただきました。患者さんがお亡くなりになる悲しみはとても言葉では言い表せませんが、住み慣れた家で家族と一緒に過ごしたい、ベッドじゃなくて畳の上で眠りたい、そんな最後の希望を叶えるお手伝いができたのかな…と。安らかな気持ちになってくださっていたら本当にうれしく思います。

高齢化が進む昨今、ご自宅でのお看取りを希望される方は大勢おられるそう。けれど、訪問看護に来てもらえる環境でなければその希望を叶えるのは難しいという現実があります。そんな中、住み慣れたご自宅で最後までその人らしく過ごさせてくれるコミケアの存在が、地域住民の方々にとって、いかに大きいか感じさせられるエピソードでした。

医療現場での様々な出会いと別れ・・・病気や怪我から回復して訪問看護を卒業される方、自宅で看取られながら旅立たれる方。そしてそこで生まれる嬉しさや悲しさ、辛さなどの様々な想い。コミケアスタッフの皆さんのパワーは、そういう想いを日々感じながらお仕事をしておられる、覚悟や愛情からくるものなのかもしれません。

コミケアの中でも教育担当を務める古津さんに、最後にどんな方に入社してほしいかうかがいました。

人のために何かするのが好き!誰かの役に立ちたい!という想いの強い方、大歓迎です。決まったお仕事を淡々とこなすのではなく、自分達で生み出す楽しみがある職場です。いきなり患者さんのところに訪問することに不安があるかもしれませんが、必ず先輩が同行してサポートします。患者さんのために頑張りたいという志のある方、ぜひコミケアで一緒に働きましょう!

取材を終えて帰る時、扉を開けると訪問先から帰社された職員のみなさんの笑顔が事務所にあふれていました。一仕事終えて帰ってきて体は疲れているはずなのに、それを全く感じさせない明るさとパワー。「大根もらったんですけど、持って帰ります?」と飾らない会話が飛び交う様子は、職場というより気心の知れた身内のよう。
そのやり取りを見ていると、「だれかの結婚式の時は必ず全力で余興をします。そして身内のように喜び、泣いてくれます。」という古津さんの言葉が蘇ってきました。「誰かのためにいつでも一生懸命」これがコミケアらしさなんだなと言葉以上に伝わるものがありました。 コミケアの皆さんのはつらつとした力強いパワーは、高齢化が進む地域医療の未来も明るく照らしてくれるようでした。

(2019年11月取材)

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