島根の海・山が恋しくなった山陽在住、島根出身の方へ。私に一歩踏み出すお手伝いをさせてください!
島根県広島事務所で移住支援コーディネーターとして活躍する三保令子さん。三保さんは、前職で8年間、大学のキャリアセンターで学生に向けた就職相談アドバイザーとして活躍されていました。2021年4月に移住支援コーディネーターに着任し、間もなく丸一年を迎えます。移住支援コーディネーターを志したきっかけや、島根のお隣・広島県から移住される方にアピールしたい島根移住の魅力ポイントなどについてお話を伺いました。
移住支援コーディネーターになったきっかけを教えてください
私は広島県出身で、前職は大学のキャリアセンターで学生の就職相談アドバイザーとして働いていました。産業カウンセラーの資格を持っているので、その知見も活かしながら学生と向き合えることにやりがいを感じていましたが、次第により幅広い世代の方の支援ができればと考えるようになっていました。
関係人口、という話題にも興味を持ち始めた頃でした(※「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉)。広島生まれ、広島育ちの私ですが、広島以外の地域と関わりを持ちながら生きることに対して、興味というか、憧れのような感情を抱いていました。
そんなときに見つけたのが、島根と広島を繋ぐ移住支援コーディネーターの求人です。島根とのつながりを持ちながら、広島で移住の相談に応じる仕事ということで、「これはまさに私のための求人なのでは!」と思わずにはいられませんでした。
私は島根県の出身ではありませんが、以前から島根に足を運ぶことは好きでした。主人が仕事で島根県の営業エリアを担当していて、出張に行くと島根の素敵な場所を見つけて教えてくれていたので、休日になると子どもを連れて家族で島根に遊びに行くことも多かったのです。
特によく行っていたのが、島根県浜田市での海水浴です。広島から1時間半で行ける浜田市には、広島市民も多く通う海がきれいな海水浴場があります。そこで見る日本海はどこまでも広く青く、私が慣れ親しんだ瀬戸内の海とはまた異なる魅力を持っています。浜田はお魚も美味しいところですしね。
そんな風にプライベートでいつも島根を身近に感じていた私にとって、島根県の移住支援コーディネーターとして働くという選択は、偶然でもあり、必然でもあったように思います。
どのような相談が多いですか?
やはり島根での仕事を探しに来られる方が一番多いですね。
そんな相談者の方にはまず、「くらしまねっと」の紹介から始めます。
「くらしまねっと」とは、島根移住情報のポータルサイトで、島根のお仕事情報をはじめ、暮らし・住まい・イベントなどのUIターンに関する情報が豊富に掲載されていますので、必ずご紹介して、さらに「しまね登録」もおすすめしています。
「しまね登録」は無料で登録できてメリットがたくさん
「しまね登録」をすることで、その方に合った情報が受け取れたり、島根の求人にサイト上で応募することができるようになったり、企業からスカウトが届いたりと、たくさんのメリットがあります。
具体的なお仕事の紹介やマッチングについては、ふるさと島根定住財団や各市町村の移住相談窓口に繋いでいます。島根県の担当者にお繋ぎすることで、より新鮮で詳細な情報を得ることができるためです。既に移住希望先の市町村が決まっている方には、その場ですぐに市町村窓口へお繋ぎすることもできますよ。
広島エリアでの移住希望者は比較的利便性の高い街を好む傾向が
広島事務所に来られる相談者の多くは、島根の中でも比較的人口の多い地域への移住を希望される方が多い傾向にあります。相談者にはファミリー層が多いこともあって、どちらかというと利便性を重視されるのかもしれませんね。
移住のとき必ず課題となる仕事探しの面でも、やはり都市部周辺の方が企業の数も多かったりするので、それはそれで当然の傾向とも思うのですが、実は都市部よりも中山間地域の方がより子育て支援や住宅支援が手厚いことも多いので、ぜひ知っていただきたいとは思っています。
例えば、子ども医療費が中学生まで無料の市町村があったり、新たに創業を考える方に向けての補助金支給制度があったり、好条件の定住促進住宅に入居できたりと、充実の移住支援策が準備されているので、特に子育て世代のファミリー層の方にとっては、一度は中山間地域への移住という選択肢も検討してみていただきたいなと思っています。
広島エリアでは圧倒的にUターン希望者が多い
あとは、移住支援制度について相談に来られる方も多いです。そのような方には、「行こうかな、しまね」を使って、具体的な支援内容を説明することが多いですね。
「行こうかな、しまね」とは、島根県の19市町村や移住支援窓口の支援を知ることができる移住情報誌のことです。最近ウェブサイト上でも閲覧できるようになりました。島根県への移住を検討されている方には、ぜひチェックしていただきたいです。
三保さんも、実際に島根に足を運ばれることがありますか?
はい、ありますよ。島根の各市町村役場の移住担当窓口に足を運ぶことで、「どのような方がいつごろ、どこの市町に向けて移住を考えているのか」「相談者がどのような悩みを抱えているのか」などを直接伝えています。市町村の担当者も、広島エリアから移住を検討している人の情報は早く知りたいですし。
何より、市町村の移住相談に関わる方々に直にお話を伺うことで信頼関係を深め、最新情報と担当者の熱い想いを直接仕入れて、相談にいらした方々によりフレッシュな現地情報をお伝えしています。
様々な相談に対して、自分なりに工夫している点は?
相談に来て下さった方との繋がりを大切にしています。相談者の中には、何度か相談に来られたあと、次の相談までしばらく期間が空く方もいらっしゃいます。そのような方に向けても「大丈夫ですか」「困っていないですか」と時々お声がけして、関係は繋いでおくように心掛けています。
移住は人生における一大決心ですから、タイミングもありますし、状況の変化で少し気持ちが遠のくこともあります。そんな時でも繋がりを絶たないようにすることで、「また、いつでもいらしてくださいね」という気持ちが伝わればいいなと思います。
実際に島根に移住した方の中で、印象に残っている方の支援エピソードをお聞かせください
着任から10か月の間に計28人の方の相談を受けまして、そのうち3人の方が実際に移住完了されました。中でも着任直後に相談にいらっしゃった男性の方が印象深かったです。
その方が移住を考えはじめたのは、趣味の家庭菜園が高じて農業に興味を持ったからだそうで。広島の自宅の小さな畑で農作物作りに取り組むうちに、その楽しさにすっかりはまってしまい、もっと本格的にやりたいと奮起されたのがきっかけでした。物静かな印象の方でしたが、相談を重ねるごとに、内に秘めた農業と移住への熱量を感じ、ふるさと島根定住財団にお繋ぎしました。
口数の少ない方だったので、定住財団や市の方とうまくコミュニケーションが取れているかな?と、一方的に心配したりもしていました。
結局その方は産業体験を利用されることになり、2021年の8月末から県西部へ移住されたと報告を受けました。産業体験とは、県外から島根への移住者が、未経験から農林漁業や伝統工芸、または介護分野の仕事にチャレンジする場合、必要な滞在費の一部を助成する制度のことです。実際にその道のプロの下で修業をさせてもらいながら、生活に必要な費用が一部助成される、というとても魅力的な制度なんですよ。
秋になり、産業体験中の相談者に会いに行きましたが、私の心配など無用だったようで、顔色もよく、とても元気そうな姿を見ることができました。産業体験の受け入れ先の方にもお話を伺ったのですが、農業に真剣に取り組む様子はもちろん、地域の草取りや自治会行事にも積極的に参加されたりと、地域にすっかり溶け込んで、暮らしを楽しんでいる姿が十分に伝わってきました。将来のビジョンや資金計画といった構想も練られていて、すごく安心しましたし、嬉しかったです。
家庭菜園とは違い、農業を仕事にするには厳しさもあると思います。挑戦して挫折する人も多い中、頑張り続けることができているのは、ご本人の努力はもちろんですし、ふるさと島根定住財団の支援や地域の方々の温かさによっても支えられているのではないかと思います。
三保さんにとっての島根県の魅力や島根のお気に入りとは
人々の温かさです。広島事務所に在籍する方々の半分は島根県の出身なので、私が仕事で関わる方も島根の方が多いのですが、島根の方々は本当に気持ちがあったかいです。あったかいという一言では伝わりづらいかもしれませんが、優しいという言葉でまとめるのも違うような気がします。よりスケールの大きな、人々の心の内にある情に満ちた部分に魅力を感じています。
また、皆さんが丁寧な暮らし方をされているように感じて、その姿にどことなく懐かしさも覚えます。島根で暮らしている方の暮らしぶりを見ていると、昔懐かしいおばあちゃんの家を思い出すんですよ。そういった雰囲気も好きですね。
あとは、島根の自然が好きです。海も山も空も全部好きですが、中でも島根の空に浮かぶ雲がとても好きです。山陰の壮大な空の中で雲がのびのびとしていて、それを眺めるのが本当に好きですね。
他にも、島根県西部の三保三隅周辺の海にもう一度行きたいと思っています。私の苗字も三保ですし、どこかご縁を感じる地名で。随分前になりますが三保三隅周辺で海水浴場を探していたとき、地元の人たちしか知らないような、プライベートビーチみたいな海に偶然たどり着きました。そこは岩と丸い石が混在していて、人も少ないとても美しい海で、今でも印象に強く残っています。日本海の海は本当に綺麗でおすすめです。
最後に、島根移住を検討中の方に向けてメッセージをお願いします
「島根の海や山が恋しい!」と感じた方は、まずは気軽に私に会いに来てください。すぐに移住ということではなく、自分スタイルで大丈夫です。一緒に考えていきましょう!仕事や住まい、暮らしぶりなど、まずは情報収集からスタートしましょう。
ぜひ、広島事務所に足を運んでください。
お待ちしております。
(2022年1月取材)